神奈川県横浜市のJR小机駅北口エリアで、土地区画整理事業による本格的な再開発構想が動き出しています。
近隣には日産スタジアムがあり、Jリーグや大型イベントが開催されるたびに多くの人が訪れる立地でありながら、これまで北口側は開発が進まず、農地や資材置き場が点在する“取り残されたエリア”でした。
そんな中、約18.6ヘクタールに及ぶ区域で「水と緑の拠点」を掲げた街づくりが検討されており、商業施設や住宅地の整備も視野に入った再開発に注目が集まっています。
この記事では、小机駅北口の現状から再開発の内容・スケジュール・住民の声までを、現地写真つきでわかりやすく解説。
「日産スタジアムの裏側」がどう変わるのか、未来の姿に迫ります。
小机駅北口は再開発で住みやすさはどう変わる?



小机駅ってどんな駅?日産スタジアムとの関係や立地を解説

小机駅(こづくええき)は、神奈川県横浜市港北区に位置するJR横浜線の駅で、新幹線が停車する新横浜駅の隣にあります。大都市・横浜の“都心周辺部”にありながら、どこかローカルな雰囲気を残す駅で、都市開発が進む新横浜駅とは対照的な存在です。
小机駅の最大の特徴といえば、国内最大級の多目的スタジアム「日産スタジアム」が徒歩圏内にあるという点です。Jリーグ・横浜F・マリノスの本拠地であるほか、サッカー日本代表戦や大型音楽ライブなども開催され、イベント当日は多くの来場者でにぎわいます。
ただし、日産スタジアムの最寄り駅としては「新横浜駅」がメインで紹介されることが多く、小机駅は“もうひとつのアクセス口”として扱われがちです。ですが、スタジアムに北側から近づくには小机駅が圧倒的に便利であり、知る人ぞ知る“穴場ルート”でもあります。
それにもかかわらず、小机駅周辺ではこれまで大規模な都市開発は進まず、ロータリーは駅南側のみ、北口は未整備のままという状態が続いてきました。そうしたなかで、現在注目されているのが小机駅北口の土地区画整理事業です。長年手つかずだった北口側の土地を見直し、新たな街づくりを目指す構想が動き始めています。
次のセクションでは、その北口エリアの現状や、再開発の背景について詳しく見ていきましょう。
小机駅北口エリアの現状|都市開発が遅れていた理由とは?
小机駅の北口側は、長らく開発の手がほとんど入ってこなかった地域として知られています。駅南側には小規模ながらロータリーが整備され、住宅や商店などが点在していますが、北側は農地や戸建て住宅が中心。特に目立った商業施設もなく、駅前とは思えないほど“のどかな風景”が広がっています。
しかも、農地の一部は手入れがされておらず、雑草が伸び放題だったり、建材や車が置かれているスペースもあり、土地が有効に活用されているとは言いがたい状況です。
また、道路やインフラの面でも整備が不十分で、駅の北側にはロータリーや送迎スペースがないため、バスやタクシーの導線が悪く、車でのアクセスにも不便さがあります。
このように、小机駅北口エリアは「駅近立地」「日産スタジアムへのアクセス良好」というポテンシャルを持ちながらも、用途の異なる土地が虫食い的に存在し、方向性の定まらないまま放置されてきたことが、これまで都市開発が進まなかった最大の理由といえるでしょう。
しかし近年では、周辺で大型イベントが増え、交通の利便性やまちの魅力向上へのニーズが高まったことで、ようやく本格的な“まちづくり”の議論が動き始めています。
次は、そのカギとなる「土地区画整理事業」について解説していきます。
土地区画整理事業とは?対象エリアと内容をやさしく解説
小机駅北口で構想が進んでいるのは、「土地区画整理事業」という再開発手法です。聞き慣れない言葉かもしれませんが、簡単に言えば土地の使い方を整理し、効率よく街づくりを進めるための制度です。
現在、小机駅の北側には、宅地・農地・建材置き場・空き地などが入り混じる状態が広がっています。土地の所有者や用途がバラバラなため、街としての一体感が生まれにくく、景観や利便性にも課題がありました。
このような状況を改善するため、約18.6ヘクタールに及ぶ広大なエリアを対象に、以下のような再整備が検討されています。
📌 土地区画整理事業で予定されている内容(概要)
- 道路や歩道の再整備による交通利便性の向上
- 土地の区画を整え直し、利用効率を高める(例:商業・住宅エリアの明確化)
- 水路や緑地の保全・活用による景観づくり
- 地域全体で災害対策やインフラ強化も
土地区画整理事業の大きな特徴は、既存の土地を「買い取ってから再整備する」方式ではなく、土地の所有者がそのまま関わりながら、再配置して街を整えていくという点です。これにより、地域住民の合意を得ながら進めることが可能で、大規模な再開発の入り口として使われることも多い手法です。
小机駅北口では、2025年春に「業務代行予定者(=実務を担う企業や団体)」を選定し、2027年度中の土地区画整理組合の設立を目指す流れとなっています。
これが実現すれば、土地利用の方針が整理され、商業施設や住宅エリアの整備が本格的に動き出すと見られています。
次は、この地域が持つ「課題」と「強み」を掘り下げ、なぜこの再開発が今注目されているのかを見ていきましょう。
🔍 注目ポイントはここ!再開発のメリットと課題点
小机駅北口エリアの再開発は、長年手つかずだった地域を活性化する大きなチャンスである一方で、いくつかの課題も抱えています。ここでは、地域が持つポテンシャル(強み)と、現在直面している課題の両面から整理してみましょう。
🚧 現在の課題点
- 土地利用がバラバラで方向性がない
農地・戸建て・資材置き場が混在し、まち全体としての統一感がありません。
虫食い的に開発されており、無秩序な印象を与えてしまいます。 - 農地の荒廃・景観の悪化
管理されていない農地や空き地が点在し、放置されたままの土地が景観を損ねています。 - インフラの未整備
ロータリーが北口側に存在せず、車両の乗降やバスの導線が確保されていません。
歩道の幅も狭く、通行時に不便を感じる人も多いようです。
💡 再開発エリアの強み・注目ポイント
- 日産スタジアムの近接地という高い集客力
国内最大級のスタジアムが徒歩圏内にあり、イベント時には数万人単位の来場者が訪れます。 - 第三京浜道路や港北JCTに近く、交通利便性も◎
車でのアクセスが良好なため、大型商業施設や駐車場付きの複合開発にも適しています。 - 横浜F・マリノスの“聖地”という地域資源
サッカーファンが定期的に訪れるため、関連ビジネスとの相性も抜群です。 - 自然や緑地が残っており、環境共生型のまちづくりが可能
“水と緑の拠点”として、都市計画上の重要なエリアと位置づけられています。
このように、小机駅北口エリアは「現状に課題があるからこそ、ポテンシャルが大きい」といえます。
再開発により、交通の利便性を高めつつ、スタジアムとの一体的な都市空間を生み出すことができれば、新横浜とはまた違った“にぎわいの拠点”が誕生するかもしれません。
次は、その「まちづくりコンセプト」について、さらに詳しく見ていきましょう。
🌳 小机はどんな街になる?「水と緑の拠点」としての未来像
小机駅北口エリアの再開発は、単なる建て替えや道路整備ではなく、**“地域の特性を活かした未来志向の街づくり”がテーマとなっています。特に横浜市の都市計画マスタープランでは、このエリアが「水と緑の拠点」として位置づけられており、自然と人との共生を意識した都市設計が期待されています。
🏞 自然を活かす「水と緑」のコンセプトとは?
現在の小机北口エリアには、まだ多くの農地や緑地、自然水路が残っており、横浜市内では貴重な“未開発ゾーン”ともいえる地域です。この自然環境をただ整地するのではなく、水辺や緑地を生かしたまちづくりが構想されています。
たとえば、農地を完全に宅地化するのではなく、コミュニティ農園や市民の憩いの場として整備する案も想定されており、自然を感じながら暮らせる“エコな街”として注目を集めています。
🏟 スポーツ×自然の共生エリアへ
また、日産スタジアムや「日産フィールド小机」といったスポーツ施設が徒歩圏内に揃っている点も、この地域ならではの強みです。
そのため、再開発では「スポーツを通じた交流」をキーワードに、下記のような構想が検討されています。
- 地域住民とスタジアム来場者がつながる仕組み(市民交流エリアなど)
- サイクリング・ウォーキングが楽しめる緑道整備
- ランナー向け休憩施設やカフェスペース
つまり、小机駅北口は、「自然」「スポーツ」「住まい」が一体となった都市空間をめざして再開発が進んでいく計画なのです。
🏢 商業施設や住宅地の整備はある?今後の可能性を考察
小机駅北口エリアの再開発では、商業施設や住宅地の整備も大きな注目ポイントです。これまで開発が進んできたのは新横浜駅周辺でしたが、小机駅側にも人が集まる拠点ができれば、地域全体の利便性と価値が一段と高まります。
🏬 商業施設ができる可能性は?
再開発の計画段階では、明確なテナント名などは出ていないものの、「生活利便性を高めるための商業施設整備」という文言は事業構想の中に盛り込まれています。
たとえば横浜市内では、ゆめが丘駅に直結する商業施設「ゆめが丘ソラトス」が2024年に開業し、地域住民だけでなく観光客も呼び込む成功例となっています。
小机駅周辺も、日産スタジアムの集客力を活かしつつ、「スタジアム帰りに立ち寄れるショッピング・飲食拠点」としての施設が整備される可能性は十分にあるでしょう。
また、駅前ロータリーの整備や、スタジアム側との動線確保に合わせて、カフェ・コンビニ・ドラッグストア・フードホールといった施設が入ることで、日常とイベント時の両方に対応できる“多機能な商業拠点”になる可能性も。
🏘 住宅地はどうなる?子育て世帯向けエリアに期待
北口側はもともと農地や戸建てが多く、住宅地としてのポテンシャルも高いエリアです。区画整理によって道路やインフラが整えば、子育て世帯向けの新興住宅街としての開発も見込まれます。
駅から徒歩圏でありながら自然豊かで、しかもスタジアムや緑地が身近にある――そんなロケーションは、近年ニーズが高まっている**「環境と利便性の両立」を叶える住宅地**として支持されやすい条件がそろっています。
加えて、都市部に比べて地価も比較的落ち着いているため、「新横浜は高すぎるけど、近くに住みたい」という層の移住先としても注目されるかもしれません。
このように、商業と住宅のバランスをうまく整えることができれば、小机駅北口エリアは「住んでも良し、訪れても良し」の理想的な新拠点へと進化することが期待されます。
次のセクションでは、現地の様子を実際の写真で紹介しながら、今の姿を可視化していきます。
📸 現地の写真で見る「小机駅北口」の今
ここからは、実際に小机駅北口エリアを現地取材した写真とともに、現在の街の様子をご紹介します。
再開発の構想が進んでいるとはいえ、まだまだ手つかずのエリアも多く、現地を歩くことで見えてくる課題とポテンシャルがたくさんあります。
🚉 駅の北口周辺|未整備の雰囲気と駅前のギャップ
まず目に飛び込んでくるのは、ロータリーのない駅北口の様子です。
南口側には小さなロータリーや送迎スペースが整備されていますが、北口にはそのような機能はなく、雑然とした雰囲気が残っています。

小机駅北口の現在の出入口とその周辺の様子 自動販売機がある所は、民家。商店街は、南口に出ないとない。

北口から歩いても、こんな感じでこの道の突き当りが小机駅北口。

南口は、こんな感じ

南口で、たまたま見つけたファミリーマートが8月5日にオープンだそうです。お話を聞いたオーナーさん?
丸顔で優しい雰囲気の方でした(* ´艸`)クスクス

南口を出ると、道路の左右に商店街らしき雰囲気が・・・?

南口を出ると、道路の左右に商店街らしき雰囲気が・・・。
歩行者スペースも狭く、通勤・通学の人たちがすれ違うのがやっとという箇所も。再開発での歩道拡張や景観整備が望まれます。
🌾 農地・資材置場が混在する再開発予定地
駅から少し離れると、農地・空き地・戸建て住宅が入り混じるエリアが広がっています。
なかには長らく使われていないと見られる土地もあり、草が生い茂っていたり、資材置場として利用されている場所もあります。

小机駅北口は、まだこのような感じが残ってます。

小机駅東側の様子。このような土地の再整備こそが、今回の土地区画整理事業の核となる部分です。ちなみに、この坂を上がると日産スタジアム。
🏟 日産スタジアムとの距離感・アクセスの現実
スタジアム方面に向かうと、小机駅から徒歩数分で日産スタジアムの北側に到着します。
新横浜駅と比べて混雑も少なく、「こちらの方が近くて楽」と感じる人も少なくありません。

現状では“裏口的な存在”の北口ですが、再開発によって「スタジアムの正面口」としての機能を持つ可能性もあります。
このように、写真を通じて見えてくるのは、伸びしろはあるのにまだ活かされていない土地の存在です。再開発によってこれらがどう変わるのか、注目が集まっています。
📅 再開発スケジュールまとめ|いつから?完成はいつごろ?

小机駅北口の土地区画整理事業は、まだ構想段階ではあるものの、具体的なスケジュールも徐々に明らかになってきています。
都市開発は長期プロジェクトになるケースが多く、このエリアも数年単位で段階的に進んでいくことが予想されます。
🗓 現在までに発表されているスケジュール(予定)
年度 | 主な動き |
---|---|
2025年度(春頃) | 業務代行予定者の選定(事業の実務を担う主体) |
2026~2027年度 | 関係者協議や詳細計画の策定、準備作業など |
2027年度中 | 土地区画整理組合の設立(地権者による正式な組織化) |
2028年以降~それ以上になる可能性大 | 実際の工事着手、街区整備、インフラ整備など順次開始 |
🚧 完成までにかかる期間は?
一般的に、土地区画整理事業は組合設立から完了まで5年~10年程度かかることが多いため、順調に進んでも実際の完成・まちびらきは2032年前後になる可能性が高いと考えられます。
ただし、区画整理後の土地に新たな住宅や商業施設が建設されるには、さらにそこから時間を要するため、最終的な街の完成イメージは2035年ごろを視野に入れておく必要があるでしょう。
🔎 今後の注目ポイント
- どの企業が「業務代行者」として選ばれるのか?
- 地権者の合意形成がどこまで円滑に進むか?
- 商業施設や公共施設の計画がいつ具体化されるか?
こうした点に注目しながら、最新情報を継続的にチェックしていくことが大切です。
このように長期計画だからこそ、早い段階から地域の変化に目を向けておくことで、暮らしにも投資にも役立つ“街の先読み”が可能になります。
次は、実際にこの地域に関わる人たちの声を集め、期待と不安が入り混じるリアルな反応を紹介していきます。
🗣 住民や利用者の声|期待と不安、リアルな感想
小机駅北口の再開発について、地元住民やスタジアム利用者からはさまざまな声が聞かれます。再開発に期待する人がいる一方で、「今のままがいい」という慎重な意見も存在しており、地域の変化に対するリアルな反応を見ていくことも重要です。
✅ 「便利になるなら歓迎!」という期待の声
- 「昔から駅北口は不便だったから、やっと整備が進むのは嬉しい」
- 「スタジアム帰りに寄れる飲食店やカフェができたら助かる」
- 「住宅地としても魅力が出ると思う。子育て世代には良さそう」
特に若年層や子育て世帯からは、商業施設や生活利便施設の整備に前向きな声が多く見られました。
また、イベント時の混雑解消や安全性向上を期待する声も一定数あります。
⚠️ 一方で「静かなままでいてほしい」という慎重な声も
- 「静かな住宅地の雰囲気が壊れそうで少し心配」
- 「人が増えることで騒音や治安が悪化しないか不安」
- 「長年住んでいる人の意見もちゃんと反映してほしい」
こうした意見は、長年この地域で暮らしてきた高齢者や地権者層に多く、再開発による“まちの急激な変化”に対する戸惑いが感じられます。
📝 調和あるまちづくりが成功のカギ
再開発によってエリアが活性化し、利便性が高まるのは間違いありませんが、地域住民の理解と合意形成がスムーズに進むかどうかが成功のカギになります。
横浜市としても、「水と緑」「スポーツ」「人とのつながり」といったテーマを軸に、単なる都市化ではなく**“暮らしやすく、愛される街”づくり**を目指している点が注目されます。
次の最終セクションでは、ここまでの情報をまとめ、小机駅北口がどう変わるのかを展望します。
📝 まとめ|日産スタジアムの裏側からもう一つの新横浜へ

小机駅北口エリアはこれまで、駅近にもかかわらず都市開発がほとんど進んでこなかった「空白の地域」でした。しかし近年になって、土地区画整理事業というかたちで本格的な再開発の構想が動き出し、注目が集まり始めています。
このエリアの特徴は、「放置された土地が多い」=「開発の余地がある」という点にあります。さらに、日産スタジアムの北側に位置し、イベント来場者を取り込める強力な立地ポテンシャルも備えています。
今後のまちづくりは、「水と緑の拠点」「スポーツとの共生」「暮らしやすさの向上」をテーマに、商業施設や住宅地の整備が進むと見られています。2030年代には、まったく新しい街並みに生まれ変わっているかもしれません。
「新横浜駅前=表玄関」だとすれば、再開発後の小机駅北口は“日産スタジアムの裏側”ではなく、“もうひとつの新横浜の顔”になる可能性を秘めています。
昔は、小机駅から綱島駅を繋ぐバス路線がありましたが、1時間に1~2本しかありませんでしたね~。再開発が進むにつれて、新しいバズ路線の見直しもされる事と思います。
開発が進む今だからこそ、現地を訪れて変化の兆しを感じてみるのもおすすめです。そして、変わりゆくこの街の姿を、今後も継続して見守っていきましょう。
横浜市都市計画マスタープラン
港北プランの詳細は、コチラで確認できます。