福岡の中心地・天神の風景が大きく変わろうとしています。長年親しまれてきた福岡天神センタービルの建て替え計画が発表され、地上21階・地下3階建ての複合ビルとして生まれ変わることが明らかになりました。2028年度の完成を目指すこのプロジェクトは、商業施設、オフィスフロア、そして豊かな緑が融合する、天神の新たなランドマークとなるでしょう。福岡市独自の「グリーンボーナス」制度に初認定された環境配慮型ビルは、天神の未来をどのように彩るのでしょうか?その全貌に迫ります。
福岡天神センタービルが再開発で複合ビルへ建て替え!新たなランドマークへ

福岡の中心地、天神の風景を長年見守ってきた福岡天神センタービル。その大規模な建て替え計画が、ついに発表されました。解体が進むこの場所に、地上21階、地下3階建てという、福岡の新たな顔となる複合ビルが誕生します。2028年度の完成を目指すこのプロジェクトは、単なるビルの刷新にとどまらず、天神の未来を形作る重要な一歩となるでしょう。
新ビル概要:高さと機能が融合する未来型複合ビル
野村不動産が手掛ける新ビルは、その規模と機能性において、天神エリアの新たなランドマークとなることが期待されています。
高さ21階建てが織りなす空間構成
新ビルは、地上21階、地下3階建ての壮大なスケールで設計されています。各フロアには、現代のビジネスとライフスタイルに合わせた多様な機能が凝縮されます。
- 低層階(地下2階~2階): 広々とした商業フロアが中心となり、天神を訪れる人々にとって新たなショッピングや飲食の拠点となるでしょう。また、ビジネス利用を想定したオフィスラウンジや会議室も整備され、オフィスワーカーの利便性を高めます。
- 中層階(3階~20階): 最新の設備を備えたオフィスフロアとなります。多様な働き方に対応できるフレキシブルなオフィス空間を提供し、企業の誘致や生産性向上に貢献します。
- 高層階(21階・屋上): 緑豊かなテラスが設けられ、都市の喧騒から離れてリラックスできる空間を提供します。天神の街並みを一望できる眺望も、大きな魅力の一つとなるでしょう。
再開発で「緑化」と「環境配慮」を重視したデザインコンセプト

この新ビルの最大の特徴は、「緑化」と「環境配慮」を徹底的に追求している点にあります。壁面やテラス、広場といった建物の随所に緑を取り入れる計画で、都市のヒートアイランド現象の緩和や生物多様性の保全にも貢献します。
特筆すべきは、福岡市が推進する「グリーンボーナス」制度に初めて認定されたことです。この制度は、高い緑化率や環境配慮の取り組みを行う建物に対して、容積率の緩和を認めるもので、本ビルがその先駆けとなりました。これは、単に容積率のメリットを得るだけでなく、福岡市が目指す持続可能な都市開発のシンボルとしての役割を果たすことを意味しています。
「グリーンボーナス」制度とは?天神のまちづくりへの影響
新ビルのプロジェクトで注目される「グリーンボーナス」制度は、福岡市の環境に配慮したまちづくり戦略の中核をなすものです。
環境への貢献を評価する独自の制度
新ビルのプロジェクトで特に注目されるのが、福岡市の「グリーンボーナス」制度です。これは、単なる再開発の枠を超え、福岡市が描く環境に配慮したまちづくり戦略の中核をなす画期的な制度と言えるでしょう。
この制度は、建築物の緑化や省エネルギー化など、環境への貢献を高く評価するために生まれました。具体的には、都市のヒートアイランド現象を緩和する壁面緑化や屋上緑化、効率的なエネルギー利用を促す設備などを積極的に導入する開発事業者に対し、容積率(敷地面積に対する延べ床面積の割合)の緩和を認めるというものです。これにより、事業者は環境に優しい設計を行うメリットが生まれます。
今回の福岡天神センタービルがこの制度の初認定事例となったことは、非常に大きな意味を持っています。今後、天神エリアで計画される他の再開発プロジェクトでも、同様の環境配慮型設計が積極的に採用されるきっかけとなるでしょう。
都市の景観と環境に新たな価値を創造
「グリーンボーナス」制度の適用は、天神の景観そのものに新たな価値をもたらします。壁面や屋上に緑が増えることで、無機質になりがちな都市空間に潤いと安らぎがもたらされます。これは、そこで働く人々や訪れる人々の心にも良い影響を与えるでしょう。また、植物は単に美しいだけでなく、生物多様性の保全にも貢献します。
福岡市は、この制度を通じて、経済的な発展と環境保護を両立させる「環境先進都市」としてのブランドイメージを確立していくことになります。福岡天神センタービルは、まさにそのビジョンを体現する最初のシンボルとなるのです。
「天神ビッグバン」との関係性:対象外でもまちづくりに貢献
福岡市の再開発プロジェクトとして広く知られる「天神ビッグバン」は、都心部の未来を大きく変えることを目指しています。しかし、今回の福岡天神センタービルの建て替えは、この「天神ビッグバン」の直接的な枠組みには含まれていません。
「天神ビッグバン」の期限と本プロジェクト
「天神ビッグバン」は、福岡市が進める再開発誘導策であり、都心部の競争力強化を目的としています。このプロジェクトは、原則として2026年末を完成期限とし、集中的かつスピーディーな都市機能の更新を図るためのものです。
一方、福岡天神センタービルの建て替えは、2028年度の完成を目指しているため、この「天神ビッグバン」の完成期限外となり、対象外とされています。
広範な視点で天神の発展に寄与
しかし、この事実が本プロジェクトの意義を損なうものではありません。むしろ、天神ビッグバンが推進する短期間での大規模な再開発とは異なる、中長期的な視点での天神の活性化に貢献するものと位置付けられます。
野村不動産のような大手デベロッパーによる大型複合ビルの開発は、天神ビッグバンが目指す「国際的なビジネス・交流拠点」としての機能強化に、期限を問わず寄与します。高機能オフィスや魅力的な商業施設が加わることで、天神エリア全体の魅力が向上し、新たな企業や人材の呼び込みに繋がるでしょう。これは、天神ビッグバンが創出する賑わいと相まって、より持続的で多角的な都市の発展を促すと考えられます。
つまり、福岡天神センタービルの建て替えは、「天神ビッグバン」という大きな波に乗るだけでなく、その後に続く天神の進化を牽引する、もう一つの重要なエンジンとなることが期待されているのです。
天神周辺地域への影響と期待される経済効果
福岡天神センタービルの建て替えは、天神エリアの経済に多大な影響をもたらすことが予想されます。
商業・オフィス環境の進化と新たな賑わい
新ビルに導入される大規模な商業フロアは、既存の商業施設と相まって、天神の商業集積をさらに高めます。多様な店舗構成や魅力的な空間デザインによって、消費者の購買意欲を刺激し、エリア全体の集客力向上に貢献するでしょう。特に、地下鉄天神駅からのアクセスが良好な立地特性を活かし、地下通路との連携強化も期待されます。
また、最新鋭のオフィスフロアは、福岡に進出を検討する企業や、事業拡大を目指す地元企業にとって魅力的な選択肢となります。高機能なオフィス空間は、生産性向上だけでなく、優秀な人材の獲得にも繋がり、福岡のビジネスシーンを一層活性化させます。
雇用創出と地域経済の活性化
建設工事が本格化する段階から、多くの雇用が創出されます。完成後も、商業施設の運営やオフィスでの業務を通じて、継続的な雇用機会が生まれます。これにより、地域住民の生活安定に貢献し、消費の増加にも繋がるでしょう。
さらに、新ビルがもたらす集客力と経済効果は、周辺地域の商店や飲食店にも波及し、天神エリア全体の経済の活性化に貢献します。福岡市の国際競争力強化にも繋がり、国内外からの投資や観光客の増加にも良い影響を与えることが期待されます。
福岡天神センタービル 今後のスケジュールと展望
福岡天神センタービルの建て替えプロジェクトは、すでに動き出しています。
着工から完成までの道のり
野村不動産は、今年度中(2025年度中)に工事を着工する予定です。そして、2028年度の完成を目指し、約3年間の建設期間を経て、新たなランドマークがその姿を現します。
完成後の福岡天神センタービルは未来を担う新たな拠点
完成後の福岡天神センタービルは、単なるオフィスビルや商業施設に留まらず、天神の未来を象徴する新たな拠点となるでしょう。グリーンボーナス制度の初認定事例として環境に配慮したまちづくりのモデルとなり、天神ビッグバンと並行して進む再開発の相乗効果で、福岡市全体の魅力向上に寄与します。
市民にとっては、新たなショッピングや飲食の選択肢が増えるだけでなく、緑豊かなテラスでリラックスできる空間が提供されるなど、生活の質を高める場所となるでしょう。ビジネスパーソンにとっては、最先端のオフィス環境で働く機会が生まれます。
まとめ:福岡天神センタービル 再開発 複合ビルへ建て替え新たなランドマークへ
福岡天神センタービルの建て替えは、福岡・天神が持つ潜在能力を最大限に引き出し、新たな時代へと進化させる重要なプロジェクトです。地上21階、地下3階という壮大なスケール、商業・オフィス・緑化が融合した複合機能、そして福岡市の「グリーンボーナス」制度初認定という環境配慮への先進的な取り組みは、今後の都市開発のモデルケースとなるでしょう。
2028年度の完成を心待ちにし、この新しいランドマークが天神のさらなる発展と、市民生活の質の向上に大きく貢献することを期待します。