2009年のオープン以来、16年にわたり原宿のランドマークとして愛されてきた「ナイキ原宿」が、2025年8月31日をもって閉店します。国内最大規模の旗艦店として多くのファンに惜しまれながら、その歴史に幕を下ろすことになります。この記事では、閉店の背景にあるナイキの戦略から、多くの人が気になる跡地の今後、そして代わりとなるべき都内のナイキ店舗まで、徹底的に深掘りします。
ナイキ原宿閉店なぜ？
閉店の背景：時代の変化とナイキの新たな戦略
公式発表では閉店の具体的な理由は明かされていませんが、以下の3つのポイントからその背景を読み解くことができます。これらの変化は、ナイキが単なるスポーツブランドから、より多様なライフスタイルに寄り添うグローバルブランドへと進化する過程で必然的に起こったものと考えられます。
デジタルシフトの加速
「ナイキ原宿」は2019年にアプリ連動店舗としてリニューアルし、デジタルと実店舗の融合をいち早く進めてきました。しかし近年、ナイキは自社の公式アプリやオンラインストアにさらに注力し、消費者の購買行動がオンラインへと大きくシフトしている現状に対応しています。
アプリの会員限定サービスやパーソナライズされた購買体験を強化することで、実店舗の役割を「商品を販売する場所」から、ブランドの哲学や最新技術を体感できる「ブランド体験の場」へとシフトさせているのです。
一等地である原宿での大規模店舗を維持する莫大なコストと、デジタルを通じた顧客接点を最大化する戦略を比較した結果、オンライン戦略に舵を切ったと推測されます。これは、グローバルな小売業界で加速している、オムニチャネル戦略の一環と言えるでしょう。
東京エリアの店舗戦略の再構築
ナイキは近年、渋谷の「NIKE TOKYO」や新宿の「NIKE SHINJUKU」など、都内主要エリアにコンセプトの異なる店舗を複数展開しています。
かつては「ナイキ原宿」が東京における唯一の旗艦店でしたが、現在は各店舗がそれぞれのエリアの特性や顧客層に合わせた役割を担うことで、都内全体の店舗戦略を最適化しているのかもしれません。
例えば、渋谷は最新のトレンドや若者文化、新宿は幅広い層にアプローチする商業の中心地というように、エリアごとの強みを活かした戦略へと転換していると考えられます。
これにより、原宿という特定エリアの旗艦店に頼らず、より広範囲でブランドの世界観を伝えていくことが可能になっているのです。
原宿という街の変化
かつてストリートカルチャーの中心地として、日本のファッションシーンを牽引してきた原宿ですが、近年は多様な文化が交差する街へと変化しています。
それに伴い、ナイキもまた、アスリート向け製品からストリートファッションまで、幅広い層にアプローチするブランドへと進化しました。
この変化により、特定のカルチャーを象徴する原宿という場所に、ブランドの顔となる旗艦店を置くことの意義が薄れてきた可能性も考えられます。
グローバルに展開するブランドとして、特定のエリアのカルチャーに限定されることなく、より広範な顧客にブランドの価値を訴求する道を選んだのかもしれません。
ナイキ原宿閉店後の跡地はどうなる？
ナイキ原宿の跡地は、表参道と明治通りが交差する一等地に位置しています。これまでに数々のブランドの旗艦店が入れ替わってきた、まさに東京のファッションシーンを象徴する場所です。現時点で後継テナントに関する公式な発表はありませんが、その立地の良さから様々な憶測が飛び交っています。
- 新たな商業施設やブランドの旗艦店：ファッション感度の高いエリアであることから、世界的に有名な高級ブランドや海外ブランドの旗艦店が入居する可能性は非常に高いでしょう。特に、ナイキと同様にデジタルと実店舗の融合を重視するような、新しいコンセプトを持つブランドが名乗りを上げるかもしれません。
- ナイキの別ブランドの店舗：ナイキ傘下のブランドであるジョーダンブランドやコンバースが、新たにこの場所に旗艦店をオープンする可能性もゼロではありません。特にジョーダンブランドは、原宿というストリートカルチャーの中心地と親和性が高く、熱狂的なファンを多く抱えているため、有力な候補の一つと言えるでしょう。
今後の動向に注目が集まります。この象徴的な場所がどのように姿を変えるのか、東京の商業トレンドを占う上でも大きな見どころとなります。
「ナイキ原宿」の代わりはどこ？次に訪れるべきナイキ店舗3選
「ナイキ原宿」でしか手に入らなかった限定アイテムや、特別なサービスを楽しみにしていた方も多いはず。閉店は残念ですが、都内にはそれぞれのコンセプトを持った魅力的なナイキ店舗が多数存在します。次に訪れるべき都内のおすすめナイキ店舗を、それぞれの特徴や楽しみ方とともにご紹介します。
新たな旗艦店として期待される「NIKE TOKYO（渋谷）」
2024年にオープンした渋谷の「NIKE TOKYO」は、都内における新たな旗艦店としての役割を担っていくことが期待されます。広々とした空間に、最新のラインナップが豊富に揃っているのはもちろん、原宿店と同様にデジタルサービスやカスタマイズサービスも充実しています。アプリを使って試着室を予約したり、限定アイテムの抽選に参加したりと、より進化したブランド体験を楽しむことができるでしょう。原宿店で最新トレンドを追っていた方は、渋谷に足を運ぶことで、その代替となる充実した体験が得られるはずです。
ファッションとカルチャーを楽しむなら「NIKE F.C.（渋谷）」
ストリートファッションや限定アイテムに興味がある方には、サッカーカルチャーをテーマにした渋谷の「NIKE F.C.」がおすすめです。ただのスポーツ用品店とは一線を画し、ファッション性の高いアパレルやスニーカーが豊富に揃っており、思わぬ掘り出し物が見つかるかもしれません。サッカーファンはもちろん、フットボールカルチャーにインスパイアされた個性的なスタイルを求める方にとって、ナイキ原宿とはまた違った魅力を発見できる場所となるでしょう。原宿のストリートスタイルを好んでいた方は、特にこちらの店舗が気に入るはずです。
ランニングやトレーニング用品を探すなら「NIKE RUNNING（新宿）」
ランニングやトレーニング用品に特化した店舗をお探しなら、新宿の「NIKE RUNNING」が最適です。専門的な知識を持つスタッフが常駐しており、足のサイズや走り方に合わせたシューズ選びなど、一人ひとりに合ったギアを的確に選ぶことができます。原宿店で行われていたランニングイベントやトレーニングセッションなどに参加していた方は、こちらの店舗のコミュニティをチェックしてみるのも良いでしょう。専門性の高いサービスと品揃えは、パフォーマンス向上を目指すアスリートやフィットネス愛好者にとって、欠かせない存在となるはずです。
ナイキ原宿の閉店は寂しいニュースですが、これも時代の流れなのかもしれません。この機会に、都内にある他のナイキ店舗を巡って、それぞれの店舗が持つ個性や新たなブランド体験を楽しんでみてはいかがでしょうか。
