PR

置き配トラブル、その時どうする? 盗難・破損から荷物を守る対策と業者の責任範囲を徹底解説

置き配トラブルから荷物を守る!今すぐできる対策のイメージした画像 NEWS(総合)
記事内に広告が含まれています。
Gifts That Make You Happy to Receive

便利なのにトラブル多発!置き配の現状と読者の疑問。玄関先や宅配ボックスに荷物を届けてもらう「置き配」。ドライバー不足やネット通販の拡大に伴い、その需要は高まる一方です。国土交通省も宅配便の標準サービスとして普及を検討するなど、私たちの生活に欠かせないものになりつつあります。

しかし、その便利さの裏側には、盗難、誤配達、荷物の破損といった様々なトラブルが潜んでいます。国民生活センターには「配達完了メールが届いたが、商品が届いていない」といった相談も寄せられており、置き配の利用経験がある人の約半数が「盗難リスクが心配」と回答しているという調査結果もあります。

本記事では、多発する置き配トラブルの具体的な事例を深掘りし、万が一トラブルに巻き込まれた際に「盗難されたらどうなるのか?」「配送業者の責任はどこまで問えるのか?」といった疑問に答えます。さらに、大切な荷物を守るために私たちができる具体的な対策についても徹底的に解説していきます。


置き配トラブルのリアル:具体的な被害事例と不安の声

置き配の利用が広がるにつれて、様々なトラブルが報告されています。ここでは、実際に起きた被害事例や、利用者・配送ドライバーが抱える不安の声を見ていきましょう。

盗難被害の実態

置き配トラブルの中でも、特に利用者の不安が大きいのが「盗難」です。

例えば、兵庫県姫路市では6月18日、男性宅の玄関前に置き配されていた荷物が盗まれる事件が発生しました。防犯カメラの捜査から女子中学生が窃盗容疑で逮捕されたこの事例は、「目に留まって中に何が入っているか気になった」という供述から、置き配された荷物が狙われやすい実態を浮き彫りにしています。一度盗難されてしまうと、荷物が戻ってくることはめったにないとされており、金銭的な損失だけでなく、精神的なダメージも大きいのが現状です。

衛生・品質問題

盗難だけでなく、荷物の品質に関わるトラブルも発生しています。

3月にはフードデリバリー大手の出前館で、玄関先に置き配された商品の袋に生きたクマネズミ(体長約5センチ)が混入していた事案がありました。混入経路は特定できなかったものの、同社は購入者に謝罪し、配達員に商品の確認を徹底するよう対応を強化したといいます。また、SNSには「荷物が雨でぬれていた」「指定していないのに置き配で届けられた」といった、雨濡れや中身破損に関する批判的な投稿も相次いでいます。

誤配達・未配達

「配達完了メールが届いたのに商品が届いていない」という国民生活センターへの相談は後を絶ちません。

【筆者体験談】 筆者も実際に経験したのは、配達が終わりメールが配信され、画像を確認すると、確かに玄関の横に荷物が置かれている画像が添付されていました。しかし、よく見ると自分の玄関ではない画像とわかり、すぐに配送業者に連絡し、理由を説明して荷物を持ち帰ってもらった経験があります。このような誤配達も意外と多いのかもしれません。

利用者と配送ドライバー双方の不安

宅配大手のヤマト運輸の調査では、置き配を利用したことのある人は8割近くに上りますが、利用経験のない人のうち、54.4%が「盗難リスクが心配」と回答しています。

不安を抱くのは購入者だけではありません。宅配ボックス販売も手掛けるハウスメーカーのナスタが令和5年に宅配ドライバー400人に調査したところ、置き配の場所として最も多かったのは玄関先で66.5%でした。しかし、玄関先に荷物を届けることに75.3%ものドライバーが「不安」と回答。実際に「荷物がない」「荷物がぬれた」などのクレームを受けた経験があると答えたのは、30.2%にも上ったといいます。


置き配トラブル、誰の責任?配送業者と利用者の責任範囲

万が一、置き配でトラブルが発生した場合、その責任は誰にあるのでしょうか。配送業者と利用者の責任範囲について見ていきましょう。

配送業者の責任は限定的

ベリーベスト法律事務所の斉田貴士弁護士は、「置き配は現状、買い主側もリスクを承知の上で選択する配達方法」と指摘しています。この言葉が示すように、置き配における配送業者の責任は極めて限定的であるのが実情です。

斉田弁護士によると、配送業者側に明確な落ち度がない限り、責任を問うことは難しいとされています。つまり、利用者が置き配を選択した時点で、一定のリスクを許容することになるというわけです。

業者の責任が問われるケース

では、どのような場合に配送業者の責任が問われる可能性があるのでしょうか。

例えば、大雨の中、あえて雨にぬれる場所に放置したり、乱暴な配達で荷物の中身を破損させたりした場合などは、業者側が「リスクを明確に予測できた」として責任を問われる可能性があります。これは、配送業者が適切な注意義務を怠ったと判断されるケースです。

不可抗力の場合

一方で、盗難や地震などの自然災害といった「不可抗力」によるトラブルでは、配送業者に責任を問うことはできません。これは、業者が予見したり防いだりすることが困難な事態であるためです。

利用者の自己責任の範囲

このように、置き配は利用者の利便性を高める一方で、一定の自己責任が伴う配達方法であることを理解しておく必要があります。トラブルを未然に防ぐためにも、利用者自身が積極的に対策を講じることが重要になってきます。


置き配トラブルから荷物を守る!今すぐできる対策

置き配のトラブルを避けるためには、利用者自身が積極的に対策を講じることが重要です。ここでは、盗難や破損から大切な荷物を守るための具体的な方法をご紹介します。

盗難対策

  • 早期回収の徹底: 置き配完了通知が届いたら、なるべく早く荷物を回収しましょう。荷物が玄関先に置かれている時間が短ければ短いほど、盗難のリスクは低減します。
  • 配達場所の工夫: 荷物を玄関先に置くことに抵抗がある場合は、人目につきにくい場所や、自宅の防犯カメラの範囲内を指定するなど、配達場所を工夫しましょう。
  • 宅配ボックス・ロッカーの活用:
    • 戸建て・マンション向けの宅配ボックス設置の推奨: 自宅に設置できる宅配ボックスは、盗難防止に非常に有効です。鍵付きのタイプや、荷物のサイズに合わせて調整できるタイプなど、様々な種類があります。
    • コンビニ受け取り、PUDOステーションなどの活用: 自宅に宅配ボックスがない場合でも、コンビニエンスストアや駅などに設置されているPUDOステーション(オープン型宅配ロッカー)での受け取りを指定することで、盗難のリスクを回避できます。
  • 防犯カメラの設置: 玄関周りに防犯カメラを設置することは、盗難の抑止力となるだけでなく、万が一被害に遭った際の証拠確保にもつながります。

破損・汚損対策

  • 防水加工されたバッグやカバーの活用: 雨天時に荷物が濡れるのを防ぐため、置き配指定場所に防水加工されたバッグやカバーを用意しておくのも一つの方法です。
  • 指定場所の再確認: 置き配を依頼する際は、雨が直接当たらない場所や、直射日光の当たらない場所など、荷物の品質が損なわれないような場所を指定するようにしましょう。

事業者側の対策と活用できるサービス

配送業者側も、置き配トラブルを減らすための様々な対策やサービスを提供しています。

  • 配達完了写真の送信: 多くの通販大手では、購入者が置き配を指定した場合、決められた配達場所に荷物を届けた写真をメールなどで送るサービスを行っています。これにより、利用者は荷物がどこに置かれたかを確認できます。
  • 置き配保険の活用: 日本郵便では「置き配保険」を設けており、盗難に際し、警察への届け出など手続きを済ませた上で、支払い限度額1万円で保険金を請求できるとしています。
  • 個別の状況に応じた対応: ヤマト運輸も、盗難や紛失などがあった場合、会員であれば個別の状況を確認して対応してくれる場合があります。各社の補償制度は異なるため、利用するサービスの規約を確認しておくことが重要です。

置き配普及の背景と今後の展望:物流の未来はどうなる?

置き配の普及は、単に利用者の利便性向上だけでなく、日本の物流業界が抱える大きな課題と密接に関わっています。

「2024年問題」とドライバー不足

物流業界では、2024年4月から時間外労働の上限が年960時間に規制される「2024年問題」が始まりました。これは、トラックドライバーの長時間労働を是正し、過酷な労働環境を改善するための重要な法改正です。しかし、その一方で、これまで長時間労働によって支えられてきた物流システムに大きな影響を与えています。具体的には、長距離輸送のリードタイム延長、深夜・早朝配送の減少、そして全体的な輸送コストの増加が懸念されています。これに加え、若年層のドライバー離れや高齢化による慢性的なドライバー不足が深刻化しており、物流業界全体の輸送力低下は避けられない状況です。このような状況下で、一度の配達で荷物を届けられる置き配は、ドライバーの負担軽減と再配達の削減に直結するため、喫緊の課題解決策としてその重要性が一層高まっています。消費者にとっても、配送料の上昇や配送サービスの質の低下といった影響が予想されるため、置き配の活用は、持続可能な物流サービスを維持するための鍵となります。

再配達率削減の重要性

国土交通省によると、今年4月の宅配大手事業者6社の再配達率は8.4%でした。近年は減少傾向にあるものの、令和6年度までに6%まで引き下げる目標は達成できていません。この再配達は、物流業界にとって大きな非効率を生み出しています。ドライバーは同じ場所に何度も足を運ぶことになり、そのたびに余計な時間、燃料、人件費が発生します。これは年間で数十万トンものCO2排出量に相当するとも言われ、環境負荷の観点からも問題視されています。再配達の削減は、ドライバーの労働時間短縮に直接貢献するだけでなく、物流コストの抑制、ひいては商品の価格安定にもつながります。さらに、環境保護の観点からも、再配達の削減は喫緊の課題であり、置き配はその解決策の最有力候補として位置づけられています。

国土交通省の動向

このような背景から、国土交通省は置き配を、宅配便の基本ルールを定めた「標準運送約款」に盛り込み、普及させたい意向です。この「標準運送約款」に置き配が明記されることで、サービス提供者と利用者双方にとって、置き配に関するルールや責任の所在が明確になります。これにより、利用者は安心して置き配を選択できるようになり、事業者側も明確なガイドラインに基づいてサービスを提供できるようになるため、トラブルの未然防止にもつながります。物流業界関係者も交えた検討会で、今秋までにその方向性をまとめる予定であり、今後さらに置き配が標準的なサービスとして定着していくことが予想されます。政府が積極的に置き配を推進する姿勢は、物流の効率化とドライバーの労働環境改善に対する強いコミットメントを示しており、将来的には置き配が当たり前の配送方法となる未来が描かれています。


まとめ:安心・安全な置き配のために

置き配は、ドライバー不足やネット通販の拡大という現代社会のニーズに応える、非常に便利なサービスです。しかし、その利便性の裏側には、盗難や破損、誤配達といった様々なトラブルのリスクが潜んでいます。

トラブルを避けるためには、利用者自身が置き配の特性とリスクを十分に理解し、早期回収の徹底、宅配ボックスの活用、防犯カメラの設置など、主体的に対策を講じることが重要です。また、万が一トラブルが発生した際に、配送業者の責任範囲が限定的であることも認識しておく必要があります。

物流業界全体が抱える課題解決のためにも、置き配の普及は不可欠です。利用者と配送事業者が協力し、それぞれの役割を果たすことで、より安心で安全な置き配環境を築き、持続可能な物流の未来へとつなげていくことが期待されます。

タイトルとURLをコピーしました