2025年9月30日、大阪府和泉市の「ダイエー和泉店」が、地域住民に惜しまれながらその19年の歴史に幕を下ろします。2021年に「山陽マルナカ」から看板を掛け替えたばかりの店舗が、なぜこれほど短期間で閉店へと至ったのでしょうか?
このニュースは、単なる一店舗の閉店報告ではありません。背後には、親会社であるイオングループの聖域なき店舗再編戦略があり、さらに近隣のディスカウントスーパー「ジャパン和泉店」も閉店したことで、地域の生活インフラに深刻な影響を与えかねない事態となっています。
この記事では、単なる閉店の事実だけでなく、
- なぜ、わずか4年で閉店せざるを得なかったのか?(3つの深層理由)
- 深刻化する地域の「買い物空白地帯」と、頼りになる代替スーパーはどこか?
- そして最も気になる「跡地」はどうなるのか?(今後の活用シナリオを大予測)
これらの読者のあらゆる疑問に対し、徹底的に深掘りして解説していきます。
ダイエー和泉店、突然の閉店。一体何があったのか?

まずは、今回の閉店に関する基本情報と、あまり知られていない複雑な経緯を整理しておきましょう。
2025年9月30日、19年の歴史に幕
- 店舗名: ダイエー和泉店
- 閉店日: 2025年9月30日(火)
- 所在地: 〒594-0062 大阪府和泉市寺田町2丁目3−5
- 開店日: 2006年4月(※「山陽マルナカ和泉店」として)
店頭ではすでに閉店の告知がされており、代替店舗として「ダイエー光明池店」や「ダイエー泉大津店」などで利用可能な割引クーポンの配布も行われました。長年利用してきた方にとっては、寂しい知らせとなります。
「マルナカ」から「ダイエー」へ。複雑すぎた運営の歴史
この店舗の背景を理解するには、少し時計の針を戻す必要があります。実は、その歴史は運営母体の変更の連続でした。
年月 | 出来事 |
2006年4月 | 瀬戸内基盤の有力スーパー「山陽マルナカ和泉店」としてオープン。 |
2011年11月 | マルナカがイオンと資本業務提携し、イオングループ傘下に入る。 |
2019年3月 | イオングループ内の再編で、近畿の14店舗がダイエーへ承継される。 |
2021年9月 | 店舗名が「ダイエー和泉店」に改称。 |
2025年9月 | 閉店が決定。 |
このように、開店から閉店までの19年間で、運営の主体が「山陽マルナカ」→「イオン」→「ダイエー」と二転三転しています。この「度重なる運営母体の変更」が、店舗への長期的な投資や独自の戦略を打ち出しにくい状況を生み、今回の早期閉店に繋がった遠因である可能性は否定できません。
なぜ閉店?見過ごせない3つの深層理由
「ダイエーになったばかりなのに、なぜ?」多くの人が抱くこの疑問。その答えは、単独の店舗の問題ではなく、より大きな3つの理由から見えてきます。
理由①:イオンが進める「旧マルナカ承継店」の聖域なき整理
今回の閉店は、氷山の一角に過ぎません。実は、ダイエーが2019年に引き継いだ旧マルナカの14店舗では、この1年でドミノのように整理・再編が進んでいます。
- 三国店(大阪市): 2024年10月に完全閉店
- 東大阪店(東大阪市): 2025年1月に閉店 → イオンリテールへ移管し「イオンスタイル」に
- 新在家店(神戸市): 2025年2月に閉店 → 建替えへ
- 西宮店(西宮市): 2025年2月に閉店 → イオンリテールへ移管し都市型SC「そよら」の中核店舗に
このように、承継した店舗の役割を見直し、閉店やグループ内の別会社への移管(=業態転換)を加速させています。この流れから見ると、ダイエー和泉店の閉店は「既定路線」であり、イオングループ全体の「選択と集中」戦略の最終段階であったと分析できます。
理由②:商圏内での競争激化と役割の終焉
ダイエー和泉店が位置するエリアは、スーパーマーケットの激戦区です。近隣には「万代」や「オークワ」といった競合がひしめき合っています。
さらに、同じダイエー内でも、約4km先には大型総合スーパー(GMS)である「ダイエー光明池店」が存在します。食料品に特化した和泉店(SM)と、衣料品や住居用品も扱う光明池店(GMS)では役割が異なりますが、食品に関しては商圏が重なり、グループ内での共食い(カニバリゼーション)が発生していた可能性も考えられます。厳しい競争環境の中で、店舗としての明確な強みを発揮しきれず、その役割を終えたと判断されたのでしょう。
理由③:建物の賃貸契約とコスト問題
これは推測の域を出ませんが、一般的なロードサイド店舗の閉店理由として「建物の賃貸借契約」の問題は常に挙げられます。2006年の開店から約20年という節目は、契約更新の一つのタイミングです。 今後の収益性をシビアに判断した結果、多額の費用がかかる契約更新や大規模修繕を行わず、閉店するという経営判断が下された可能性も十分に考えられます。
ジャパンも閉店…和泉府中エリアに広がる「買い物空白地帯」の実態
ダイエー和泉店の閉店が地域に与える衝撃は、単独ではありません。追い打ちをかけるように、2025年7月には徒歩圏内にあったディスカウントスーパー「ジャパン和泉店」も閉店しています。
府道226号線沿いから大型スーパーが消える衝撃
[地図画像:ダイエー和泉店とジャパン和泉店の位置を示し、周辺にスーパーが少ないことを示すエリアマップ]
これにより、和泉府中駅から和泉中央駅へと続く府道226号線沿いから、日常的に利用できる大型スーパーが姿を消すことになります。特に、車を運転しない高齢者や、小さなお子様を連れた方々にとっては、日々の買い物が格段に不便になる「買い物難民」問題が現実味を帯びてきます。
閉店後の頼れる代替スーパーはここ!完全比較ガイド
では、これからどこで買い物をすれば良いのでしょうか。公式が案内する店舗と、近隣の主なスーパーを比較しました。
店舗名 | 和泉店からの距離(目安) | 特徴 | こんな人におすすめ |
ダイエー光明池店 | 車で約15分(約4.5km) | 食料品から衣料品、暮らしの品まで揃う大型GMS。専門店も多数。 | 一箇所で買い物を済ませたいファミリー層。 |
ダイエー泉大津店 | 車で約10分(約3km) | 同じく旧マルナカ承継店舗。地域密着型の品揃え。 | これまで通りのダイエー品質を求める方。 |
イオンフードスタイル栂・美木多店 | 車で約20分(約7km) | “ごちそう”や”健康”をテーマにした都市型スーパー。品質重視。 | 少し足を延ばしてでも良い食材を求める方。 |
万代 和泉府中店 | 車で約5分(約1.5km) | 地域に根差した人気スーパー。生鮮食品に定評あり。 | 近場で手軽に高品質な生鮮品を求める方。 |
参考記事 【最重要】休業期間を乗り切るための緊急買い物対策マップ
【大予測】ダイエー和泉店の跡地はどうなる?3つのシナリオ

地域住民にとって最大の関心事は「あの広い跡地がどうなるのか?」でしょう。過去の事例や地域の特性を踏まえ、3つの活用シナリオを予測します。
本命シナリオ:勢いのあるディスカウントスーパーが出店
最も期待され、可能性が高いのが、近年関西で出店を加速させている「ロピア」や「トライアル」といった、集客力の高いディスカウントスーパー(DS)の出店です。2,678㎡という店舗面積は、こうしたDSが出店するには十分な広さであり、地域の新たな核となるポテンシャルを秘めています。
対抗シナリオ:食品も扱う大型ドラッグストア
もう一つの有力候補が、食品や生鮮品を強化した大型ドラッグストアです。特に九州を地盤に全国展開を進める「コスモス薬品」などは、ロードサイドのスーパー跡地への出店を得意としています。医薬品から食品までワンストップで揃う利便性は、地域住民にとって大きな魅力となるでしょう。
大穴シナリオ:スーパー以外の業態転換
可能性は低いかもしれませんが、全く別の業態に変わるシナリオも考えられます。幹線道路沿いという立地を活かした物流施設や、高齢化社会に対応する医療モール、あるいは建物を解体してのマンション開発なども選択肢としてはあり得ます。
※注意: これらの予測は、現時点で確定した情報ではありません。
まとめ:ダイエー和泉店の跡地は何ができる?私たちに問いかけるもの
ダイエー和泉店の閉店は、長年親しんできた住民にとっては寂しいニュースです。しかし、この出来事は、大手流通グループの経営戦略の転換と、日本の多くの郊外が直面する商業環境の変化を象徴しています。
日々の買い物が不便になるという厳しい現実がある一方で、広大な跡地がどのように活用されるかによって、この地域がより便利で魅力的な場所に生まれ変わる可能性も秘めています。
今回の閉店は「終わり」ではなく、地域の商業地図が塗り替わる「変化の始まり」なのかもしれません。今後、跡地の活用について新しい情報が入り次第、この記事でも追ってお伝えしていきます。