カスハラとは何か、その具体的な事例と対策について詳しく解説します。カスハラの意味から、具体的な事例、そして対策まで、カスハラについて理解を深めるための情報を提供します。
カスハラとは?10個の具体的な事例と対策について詳しく解説
「カスハラ」は、「カスタマーハラスメント」の略で、顧客や取引先からの過剰な要求や不当な言いがかりなどのことを指します。具体的には、商品やサービスには関係ない要求や嫌がらせ、過度な値引き要請、恫喝や暴言、インターネット上の誹謗・中傷などの行為が当てはまります。
カスハラは、顧客の要求内容が妥当性を欠いたり、要求の手段や態様に問題があったりします。たとえば、購入した商品の品質に問題がないにもかかわらず、いいがかりをつけて新品との交換を求める場合や、購入した商品について過剰なアフターケアを執拗に求める場合などがカスハラに該当します。
また、カスハラは一般的なクレームとは異なり、商品やサービスの改善につながるものではありません。一方、一般的なクレームは、商品の不備やサービスに対する正当な不満を企業に適切に伝えるもので、これらのクレームは、商品やサービスの改善につながるため、企業としても真摯に向き合う必要があります。
カスハラ問題は深刻化しており、東京都は全国初となるカスハラ防止条例の制定を検討しています。カスハラ対策を怠ると、被害を受けた従業員が退職する、あるいは従業員から損害賠償を求められるといった事態になりかねません。したがって、カスハラに備えた対策の準備は、企業にとって喫緊の課題といっても過言ではないでしょう。
カスハラには、パワハラやセクハラと違い法律上の定義はありませんが、厚労省の示す対策マニュアルでは以下の通り定義されています。
顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業関係が害されるもの
(出典引用)厚生労働省【カスタマーハラスメント対策企業マニュアル】
カスハラは、セクハラやパワハラと同様に、職場環境を悪化させる大きな原因として、近年特に社会で問題視されています。
カスハラの具体的な事例10項目
以下に、カスハラの具体的な事例を10個ご紹介します:
- 商品の入れ方に対するクレーム:ある顧客が「商品を袋に入れる“入れ方”がおかしい」とクレームをつけ、その後「半年で200万円ぐらい使ったから、半分の100万円を返せ」という要求を突きつけた事例があります。
- タオルケットに穴が開いていたと主張する顧客:購入したタオルケットに穴が開いていたと主張する顧客が、店員と店長に対して土下座を要求し、その様子を写真に撮ってSNSに投稿した事例があります。
- 寿司にわさびを乗せる行為:ある10代の少年が、他の客のオーダー品である寿司の上にワサビを乗せてSNSに投稿した事例があります。
- ICカードの使い方に対する逆ギレ:駅員が乗客にICカードの使い方を教えたところ、乗客が逆ギレし、駅員の右胸を殴打した事例があります。
- タクシー運転手への名指しカスハラ:タクシー内に記載されている身分証を確認し、「本田、会社に言うぞ」と名前を確認して脅しあげるハラスメントがありました。
- 署に2時間近く居座り続け逮捕:ある人物が署に2時間近く居座り続け、その結果逮捕された事例があります。
- 不良品以外の返品交換の要求:ある女性が数日前に洋服を購入した後、「返品しろ」「返品不可なんて聞いていない」「できないなんておかしい」とクレームをつけた事例があります。
- 過度なアフターケアの要求:購入した商品について過度なアフターケアを執拗に求める事例があります。
- 新品との交換の要求:購入した商品の品質に問題がないにもかかわらず、いいがかりをつけて新品との交換を求める事例があります。
- 過度な値引き要求:商品やサービスには関係ない要求や嫌がらせ、過度な値引き要請などの行為がある事例があります。
これらの事例は、カスハラがどのような形で発生するかを示しています。カスハラは、顧客や取引先からの過剰な要求や不当な言いがかりなど、従業員の健康や業務遂行に悪影響を及ぼす行為です。企業は、従業員を守るために、カスハラに対する適切な対策を講じる必要があります。
カスハラの対策はどうすればいいですか?
カスハラ対策には以下のような手段があります:
- 基本方針の明確化:企業としてのカスハラに対する基本方針を明確にし、それを従業員全員に周知することが重要です。これにより、従業員はどのように対応すべきかのガイドラインを理解できます。
- 相談体制の整備:従業員が安心してカスハラに関して相談できる体制を整えることが重要です。具体的には、相談窓口(相談対応者)の設定や本社担当部署の設定などがあります。
- カスハラ対策マニュアルの作成:クレームとカスハラを区別し、適切に対応するためのマニュアルを作成します。
- 証拠の保全:録音などを通じて、カスハラの証拠を残すことが重要です。
- 社内での情報共有:カスハラの事例を社内で共有し、それに対する対策を共有することが重要です。
- カスハラ対策の明示:企業がカスハラ対策を行っていることを明示することで、従業員の安心感を高めることができます。
- 被害者へのケア:カスハラの被害に遭った従業員へのケアを行うことが重要です。具体的には、メンタルヘルスへの対応や、被害者を一人で対応させない取組などがあります。
これらの対策は、カスハラの予防だけでなく、発生した場合の対応にも役立ちます。また、これらの対策はすぐに成果が出るものではありませんが、適切な体制を整え、経験を蓄積することで、徐々に改善していきます。
従業員へのメンタルヘルス対策はどうすればいいですか?
従業員へのメンタルヘルス対策には以下のような手段があります:
ストレスチェックの実施:定期的に労働者のストレスの状況について検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気付きを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させるとともに、検査結果を集団的に分析し、職場環境の改善につなげることによって、労働者がメンタルヘルス不調になることを未然に防止することを主な目的としたものです。
相談窓口の設置:従業員が安心してメンタルヘルスに関して相談できる体制を整えることが重要です。具体的には、相談窓口(相談対応者)の設定や本社担当部署の設定などがあります。
研修の実施:メンタルヘルスに関する知識を従業員に提供し、理解を深めるための研修を実施します。
働きやすい職場環境の整備:長時間労働やハラスメント、人間関係等の職場環境がメンタルヘルス不調の要因となることがあります。そのため、働きやすい職場環境を整備することが重要です。
コミュニケーションの活性化:職場でのコミュニケーションを活性化させることで、ストレスの軽減や職場環境の改善を図ります。
健康経営の推進:企業全体として健康経営を推進し、従業員のメンタルヘルスを保護する体制を整えます。
専門家の活用:産業医や心理カウンセラーなどの専門家を活用し、従業員のメンタルヘルス対策を支援します。
これらの対策は、メンタルヘルスの予防だけでなく、発生した場合の対応にも役立ちます。また、これらの対策はすぐに成果が出るものではありませんが、適切な体制を整え、経験を蓄積することで、徐々に改善していきます。
是非、参考にしてください。