2026年2月12日、西武グループの西武不動産株式会社より、新横浜のランドマークである「新横浜プリンスペペ」が2027年3月をもって営業を終了することが発表されました。このニュースは地域住民や新幹線利用者にとって大きな衝撃となっています。
「お気に入りのショップはどうなるの?」「ホテルもなくなってしまうの?」といった不安の声に応えるべく、本レポートでは公式発表に基づいた真実と、その背景にある西武グループの戦略、および新横浜の未来について、不動産・都市開発の視点から紐解いていきます。
- 営業終了の公式スケジュールと対象施設
西武不動産による2026年2月12日のプレスリリースによれば、ペペの営業終了時期は2027年3月(予定)とされている。当該施設は1992年3月20日の開業以来、約35年間にわたり運営されてきたが、現時点での店舗数は63店舗(2026年1月末時点)に及ぶ。
| 項目 | 詳細情報 |
| 正式名称 | 新横浜プリンスペペ |
| 所在地 | 神奈川県横浜市港北区新横浜3-4 |
| 開業日 | 1992年3月20日 ※筆者の記憶ではこの日、女優の沢口靖子さんがオープニングに来ていたと思いますよ!あれから35年ということは、今何歳なんでしょうねw |
| 営業終了予定 | 2027年3月 |
| 対象範囲 | 商業施設フロア(地下1階~地上4階) |
| 現状店舗数 | 63店舗(2026年1月末時点) |
| 延床面積 | 50,654.38 ㎡ |
【結論】新横浜プリンスペペは2027年3月に閉店。ただしホテルは「継続」

まず、最も重要なポイントからお伝えします。「新横浜プリンスペペ」は2027年3月に営業を終了しますが、隣接する「新横浜プリンスホテル」は引き続き営業を継続します。
なぜ商業施設だけが閉まるのか?
ペペが閉店する一方でホテルが残る理由は、新横浜という土地が持つ独自の「宿泊需要の強さ」と、西武グループが進めている全社的な「資産の最適化」という二つの歯車が噛み合った結果です。
1992年の開業から約35年が経過し、建物の物理的な老朽化だけでなく、社会ニーズとのミスマッチが顕著になってきました。バブル末期の「モノ消費」中心の設計から、現代の「体験型消費」や「ワークライフバランス」を重視するライフスタイルの変化に合わせ、地下1階〜地上4階の商業エリアを抜本的に作り直す、いわば「建物の機能更新」の時期が到来したということです。
従来の小売店舗(物販)を中心とした構成では、Eコマースの普及や近隣競合施設との差別化が難しくなっています。そこで、高機能なオフィス空間やウェルネス施設といった最新のサービス機能を導入することで、エリア全体の付加価値を高め、土地が持つ潜在的なポテンシャルを最大限に引き出せると判断されました。
西武グループは、品川駅西口エリアにおいても、長年親しまれてきた古い施設を再編し、オフィス・ホテル・商業が融合した大規模な複合再開発を推進しています。新横浜での決定も、この成功モデルを踏襲し、グループ全体の収益基盤を強化するための経営変革の象徴的な動きと言えます。
つまり、今回のペペ閉店は単なる「事業の撤退」ではなく、10年後、20年後の新幹線駅周辺のあり方を見据えた、より強固で魅力的な街へと進化するための「前向きな再定義(リニューアル)」の第一歩であると捉えるのが正解です。
西武グループの戦略「アセットライト」と2035年への展望
なぜ今、この大きな決断が下されたのでしょうか。そこには西武ホールディングスが掲げる「西武グループ長期戦略 2035」に基づいた、不動産事業の抜本的な構造改革が深く関わっています。
「所有」から「活用」への転換:アセットライトの真髄
西武グループは現在、不動産を単に「保有」して賃料を得るだけの伝統的なビジネスモデルから脱却し、外部資本を活用しつつ自社は運営や開発に注力することで資産の収益性を極限まで高める「アセットライト戦略」を強力に推進しています。
戦略の核:資本効率の向上と機動的な投資
財務体質の健全化と資本効率(ROE)の向上を図るため、保有資産を厳選し、低収益な既存事業を整理・再構築する判断を下しています。これにより捻出した経営資源を、成長ポテンシャルの高い都心部や広域交通結節点の再開発へと機動的に集中投下することが、2035年に向けたグループの成長シナリオです。
新横浜の価値:交通ネットワークの結節点としての重要性
東海道新幹線の全列車が停車する圧倒的な利便性に加え、2023年の「相鉄・東急新横浜線」の開通により、渋谷・新宿・目黒といった都心主要エリアとの直通ネットワークが確立されました。
これにより新横浜は単なる「新幹線の停車駅」から、首都圏広域のビジネス・観光を繋ぐハブへとその地位を一段引き上げました。
西武グループにとって、新幹線駅至近のこの土地はまさに「手放すべきではない最重要アセット」であり、それゆえに現状維持ではなく、未来を見据えた大規模な投資(リセット)が必要だったのです。
狙い:35年目の機能刷新とコンバージョン
1992年の開業以来、地域に親しまれてきた「ペペ」という商業形態は、35年という歳月を経てその歴史的役割を一区切りさせます。
建物の物理的な寿命や設備更新のタイミングに合わせ、現在の「小売店舗中心」という枠組みを一度解体し、時代のニーズに即した「次世代型の高付加価値施設」へとコンバージョン(用途転換)を図ること。
これが、土地の将来価値を最大化し、エリア全体の魅力を高める唯一の道であるという経営判断が背景にあります。
地域住民への影響:生活インフラとしての課題
ペペの閉店は、新幹線駅周辺のオフィス街という顔を持ちながら、居住区としての側面も強めている新横浜エリアの住民にとって、極めて切実な問題です。
特に、駅直結の「キュービックプラザ新横浜」が観光客や通過客を主なターゲットとしているのに対し、ペペは「地域住民の生活拠点」としての役割を担ってきたため、その喪失がもたらす影響は多方面にわたります。
生活を支えるショップの去就と利便性の喪失
ペペの最大の特徴は、食・衣・住の全てを網羅する強力なテナント群が1つの建物に集約されていた点にあります。
食の拠点
地下1階の食品フロアには、高品質な食材を提供する「成城石井」や、日常的な買い物に欠かせない鮮魚・精肉・青果の専門店が並んでいます。
オフィスビルが立ち並ぶ駅周辺において、これだけの規模で生鮮食品を揃えるスーパーは極めて稀少であり、近隣のマンション住民にとっては「食の生命線」とも言える存在です。
衣と雑貨の集積
2階から4階にかけて展開する「ユニクロ」「GU」「しまむら」といった低価格かつ高品質な衣料品店や、生活雑貨の「無印良品」「ダイソー」「Can★Do」の存在も無視できません。
これらのショップは、単独でも集客力がありますが、それらが一箇所に揃っていることで「一度の外出で全てが済む」という、都市型生活ならではの高い効率性を支えてきました。
テナント・ショップの営業状況と今後
主要テナントの閉店スケジュール一覧
新横浜プリンスペペには、アパレル、雑貨、飲食、サービス業など多様なテナントが入居しており、生活インフラとしての役割も担ってきました。 閉館に伴い、各店舗は2026年末〜2027年初頭にかけて順次閉店する見込みです。
現時点で判明している情報によると、以下のようなテナントが営業中です(2026年1月時点)[2]:
- 無印良品(生活雑貨・衣料品)
- ユニクロ(アパレル)
- くまざわ書店(書籍)
- サンマルクカフェ(飲食)
- スーパーマーケット、ドラッグストア、100円ショップなど
今後、各店舗から個別に閉店日や移転情報が発表されると見られます。
移転・再出店の予定がある店舗は?
一部のテナントは、すでに近隣エリアでの移転や再出店を検討中です。 特に無印良品やドラッグストアなどの生活密着型店舗は、顧客の利便性を考慮し、新横浜駅周辺での再出店を模索しているとの情報もあります。
また、再開発後の新施設に再び出店する可能性もあり、今後の動向に注目が集まっています。
ポイントカードやサービスの取り扱いはどうなる?
各テナントのポイントカードやサービスについては、全国共通のチェーン店であれば引き続き利用可能なケースが多いです。 ただし、プリンスペペ独自のキャンペーンや特典については、閉館に伴い終了する可能性が高いため、早めの利用が推奨されます。
また、施設全体のポイントサービスや駐車場優待なども、閉館に向けて段階的に終了する見込みです。 公式サイトや各店舗の案内をこまめにチェックしておくと安心です。
ホテルが「継続」される強力な根拠
「ペペが閉まるなら、ホテルも危ないのでは?」という不安の声が一部で上がっていますが、結論から言えばその心配は不要です。むしろ、新横浜プリンスホテルは西武グループのホテル事業において、他にはない圧倒的かつ強固な優位性を確立しています。
東海道新幹線の「フロントドア」としての独占的立地
新横浜駅は、全ての新幹線が停車する「横浜の玄関口」です。駅から徒歩2分という距離に位置し、かつ900室近い客室数を誇るこのホテルは、関西・中京圏からのビジネスエリートや観光客にとって、宿泊先の第一候補としての地位を揺るぎないものにしています。
移動時間を最小限に抑えたい出張者にとって、新幹線を降りて数分でチェックインできる利便性は、他の追随を許さない最大の武器です。
横浜アリーナとの「共生関係」による盤石な需要
最大収容人数約17,000人を誇る日本屈指のイベント会場「横浜アリーナ」が至近にあることは、経営上の決定的な強みです。
国内外のアーティストによる大型公演や企業の周年イベントが開催される際、ホテルは「出演者の宿泊」「運営スタッフの拠点」「ファンの滞在先」として、ほぼ独占的にその需要を享受しています。
イベント後の打ち上げやパーティー会場としての宴会需要も相まって、単なる宿泊施設を超えた「イベント連携型拠点」としての収益性は極めて高く、手放す理由がありません。
地域を象徴する「円筒形タワー」のブランド力
地上42階、高さ約150メートルの独特な円筒形タワーは、もはや単なる建物ではなく、新横浜エリアのスカイラインを形成するシンボルそのものです。プリンスホテルブランドにとって、この圧倒的な視認性とランドマーク性を維持することは、神奈川エリアにおけるブランド価値を担保する上で不可欠な要素となっています。
商業施設閉鎖による「ホテル機能の高度化」への期待
ペペの跡地活用によって、これまで手狭だったホテルのロビーを広々とした吹き抜け空間へ拡張したり、高機能なクラブラウンジ、最新設備を備えたレストランへ再編したりすることが可能になります。
これにより、宿泊単価(ADR)の引き上げや、インバウンドの富裕層ニーズへの対応力が向上し、ホテル単体としての競争力はさらに強化されると推察されます。
【未来予想】跡地はどう生まれ変わるのか?
2027年以降、公式発表で「関係各所と調整中」とされているペペ跡地がどのような姿に生まれ変わるのか、西武グループの戦略と近隣の市場ニーズから、以下の3つの有力なシナリオを予測できます。
現在の低層階(B1〜4F)という空間特性を活かしつつ、建物の資産価値を長期的に維持・向上させるための「攻め」の再構築が行われるでしょう。
シナリオA:次世代型複合オフィスへの転換
新幹線および都心直通線の利便性を最大限に活かし、リモートワークと出社を自在に組み合わせるハイブリッド型のワークスペースを構築するプランです。
単なる事務室ではなく、最新のDX(デジタルトランスフォーメーション)設備を備えた「ハブ&スポーク型」のサテライトオフィスや、新幹線駅直結という強みを活かした大規模なカンファレンスセンターの導入が考えられます。
隣接するホテルとの連携により、遠方からの来客をスムーズに会議室や宿泊フロアへ誘導できる「ビジネスエコシステム」としての進化が期待されます。
シナリオB:ウェルネス&ライフスタイル拠点への刷新
従来の「百貨店的な物販」から、地域住民とホテル宿泊客の両方をターゲットにした「自分磨きと健康」の場への転換です。
高級フィットネスクラブや予防医学に特化したクリニックモール、高品質なオーガニック市場やカフェが融合した、質を重視した空間づくりです。
これにより、近隣住民のQOL(生活の質)を高めると同時に、ホテルの長期滞在者にとっても魅力的な「暮らしのインフラ」を提供することが可能になります。
シナリオC:宿泊・滞在機能の大幅拡張(ホテルとの一体化)
低層階をホテルのパブリックスペースとして全面的に再編し、ロビー、高級ラウンジ、および地域の「食のデスティネーション」となるレストランフロアへと刷新するプランです。
一部のフロアを家具付きの「サービスアパートメント」として提供することで、国内外の富裕層や長期ビジネス客の滞在需要を確実に取り込みます。これは、近年の「ホテルライクな暮らし」へのニーズに応えるものであり、建物全体のプレミアム価値を飛躍的に高める戦略です。
いずれのシナリオが選ばれるにせよ、これまでの「駅前にある便利な商業ビル」という立ち位置から、より目的意識を持った人々が集う「洗練された新横浜の顔」へと、そのステージが一段階引き上げられることは間違いありません。
まとめ:2027年は新横浜が進化する年
新横浜プリンスペペの営業終了は、一つの時代の終わりであると同時に、新しい「新横浜」が始まる合図でもあります。
- ペペは2027年3月に閉店。
- ホテルは営業を継続。
- 跡地は西武グループの戦略に基づき、より価値の高い施設へ再生される。
しばらくの間は不便を感じることもあるかもしれませんが、新幹線、東急・相鉄線、およびリニア(品川経由)の恩恵を受けるこのエリアのポテンシャルは計り知れません。
西武不動産からの次なる具体的な開発計画の発表を楽しみに待ちましょう。私たちも、新しい情報が入り次第、随時お届けしていきます。
注:本記事の内容は2026年2月時点の公表資料に基づいた分析であり、最新の情報については公式サイトをご確認ください。

