2026年2月に営業終了を迎える「ダイエーfoodium多摩センター」。この閉店は単なる一店舗の撤退に留まらず、クロスガーデン多摩が直面する定期借地権満了と、多摩センター駅北側エリア全体の都市再編を象徴する出来事です。本報告書では、地域で囁かれる「ロピア進出説」の真偽を検証するとともに、不動産的背景と近隣競合の動向から、多摩センターの商業地図がどのように塗り替えられるのかを徹底調査しました。
調査の背景と多摩センター地区の商業概況

東京都多摩市に位置する多摩センター地区は、多摩ニュータウンの広域拠点として、1970年代の入居開始以来、計画的な都市開発のモデルケースとなってきました。しかし、2020年代に入り、施設の老朽化、定期借地権の満了、消費行動の変化という複合要因により、劇的な商業地図の塗り替えが進行しています。
本報告書は、2008年開業の「クロスガーデン多摩」の核テナント「ダイエーfoodium多摩センター」の閉店実態を精査し、噂される「ロピア」進出の蓋然性を多角的に分析するものです。
ダイエーfoodium多摩センター閉店の実態
利用者間で混同されがちな「閉店の定義」について、以下の通り整理します。
閉店スケジュールと対象範囲
公式発表に基づき、営業終了の詳細は以下の通り確定しています。
- 最終営業日: 2026年2月1日(日)
- 直営売場面積: 約1,779平方メートル
- 閉店対象: * ダイエーfoodium直営売場(生鮮、惣菜、日用品)
- 店内焼成ベーカリー
- イートインコーナー
「一部店舗」の継続営業と施設の現状
今回の事象は、厳密には「特定テナント(ダイエー)の退去」です。以下の店舗は2026年2月1日以降も営業を継続することが確認されています。
| 継続営業店舗名 | 特徴 |
|---|---|
| モスバーガー クロスガーデン多摩店 | 1階独立区画 |
| QBハウス クロスガーデン多摩店 | 1階サービス区画 |
| ポニークリーニング | 1階サービス区画 |
しかし、これは一時的な「部分的営業状態」への移行に過ぎず、施設全体の将来的な閉鎖に向けたステップであると考えられます。
定期借地権問題と施設の存続性
ダイエーの撤退は、都市再生機構(UR)との「一般定期借地権」の契約満了(20年契約)と密接に連動しています。
UR都市機構との契約期限(2028年)の壁
2008年開業から20年となる2028年頃が、土地返還の期限と予測されます。建物の解体・更地返還のプロセスを考慮すると、2026年のダイエー撤退は施設全体の閉鎖に向けた決定的な一歩と言えます。
周辺エリアの閉鎖事例(UR借地満了ラッシュ)
| 施設名 | 性格 | 現状と今後 |
|---|---|---|
| 大江戸温泉物語 | 温浴施設 | 定期借地権満了により解体・更地化 |
| TSUTAYA 多摩センター店 | 文化・娯楽 | 契約満了に伴い閉店・撤去済み |
| カわチ薬品 多摩ニュータウン店 | ドラッグストア | 同上 |
ロピアのドミナント戦略と「多摩センター包囲網」
神奈川発のディスカウンター「ロピア(OICグループ)」の動向が、今回の閉店後の予測において大きな注目を集めています。
近隣エリアへの連続出店(聖蹟桜ヶ丘・多摩境)
| 店舗名 | オープン日 | 前身店舗 | 戦略的特徴 |
|---|---|---|---|
| 町田多摩境店 | 2025年11月27日 | フードワン多摩境店 | アートと食の融合、広域集客 |
| 聖蹟桜ヶ丘店 | 2025年12月12日 | コモディイイダ | 駅直結、生鮮市場アキダイ導入 |
ロピア進出説の妥当性評価
「foodium跡地にロピアが入る」という説に対し、本報告書では以下の理由から「現時点での蓋然性は極めて低い」と結論付けます。
- 建物の存続性: 2〜3年以内に解体が予見される建物への巨額投資は、ロピアの投資基準に合致しない。
- 自社競合(カニバリゼーション): 聖蹟桜ヶ丘と多摩境の中間に位置し、既存店と顧客を奪い合うリスクがある。
- 再開発ビジョンの乖離: URの目指す「静穏な住宅・ミクストユース」と、メガスーパーの集客特性が必ずしも合致しない。
多摩センター駅周辺のスーパー競合状況
ダイエー閉店後、地域住民の購買行動は以下の既存店舗へシフトすることが予想されます。
- 千歳屋: 圧倒的な低価格(節約志向層)
- イトーヨーカドー: 安定した品揃えと信頼(ファミリー層)
- イオンフードスタイル: 帰宅時の利便性(通勤客・単身者)
- 三越(デパ地下): 高品質・ギフト需要(富裕層・こだわり層)
将来の跡地利用予測と結論
URによる土地利用転換シナリオ
クロスガーデン多摩の跡地は、再び大規模商業単体施設になる可能性は低く、以下の複合型開発が有力視されています。
- 分譲マンション建設: 駅近の立地を活かした現役世代の誘致。
- 低層部への生活支援型商業: コンビニや小規模スーパー(まいばすけっと等)の併設。
- 公共・福祉機能: 図書館分館や地域ケアプラザの導入。
最終的な総括
- 閉店の範囲: 2026年2月にダイエーは完全消滅するが、施設全体は解体期限まで一部店舗を残して存続する。
- ロピア進出の真偽: 即時の出店は否定される。将来の再開発ビルへの入居可能性はゼロではないが、数年の空白期間を要する。
- 都市の更新: 今回の閉店は「街の衰退」ではなく、21世紀型のサステナブルな居住・商業融合都市へと脱皮するためのプロセスである。
以上
本報告書の活用について: 本調査結果は、多摩センター北側エリアの価値再定義に向けた基礎資料として活用されることを意図しています。

